お知らせ

【新刊情報】上智大学中世思想研究所編(2021)『「原罪論」の形成と展開――キリスト教思想における人間観――』、知泉書館。

2021年7月20日に、知泉書館から、上智大学中世思想研究所編『「原罪論」の形成と展開――キリスト教思想における人間観――』が出版されました。

龍谷大学文学部の山口雅広准教授(龍谷哲学会会員)が、第8章「トマス・アクィナスの原罪論――彼のキリスト教的人間観の一面」を執筆しています。
同章では、トマスの原罪論が概観されるほか、原罪論を大前提の一つに据える彼の人間観には、キリスト教的な人間理解ばかりか、現代においても通用するような人間に対する根本洞察も含まれることが指摘されています。

同書には、この他、テルトゥリアヌス、オリゲネス、アウグスティヌス、ペラギウス派、アンセルムス、ビンゲンのヒルデガルト、オッカムのウィリアム、十字架のヨハネの原罪論に関する論考が収められています。
キリスト教の原罪論や、根源悪、あるいは人間がもつ弱さといったものに関心をおもちの方は、ぜひご覧になってください。

目次と内容説明は、出版社のホームページでご確認いただけます。

以上です。

【新刊情報】ピエール=フランソワ・モロー(2021)『スピノザ入門[改訂新版]』、松田克進、樋口善郎訳、白水社。

松田克進先生(本学文学部教授・龍谷哲学会委員)が訳者の一人となって翻訳された、ピエール=フランソワ・モロー『スピノザ入門[改訂新版]』が、2021年5月に白水社から刊行されました。以下は、出版社からの紹介です。(他に、【特別寄稿】スピノザは二度、日本を語る。 ピエール=フランソワ・モローさん(哲学史家)という記事もあります)。

〈内容説明〉
スピノザ評伝の決定版!
伝説ぬきのスピノザ像を浮き彫りにした評伝

十七世紀の哲学者がいかに生き、論じ、受容されたのか。改訂新版ではスピノザが『神学政治論』で日本について言及した箇所も考察する。

「スピノザの生涯と著作は、これまで、多くの伝説によって物語られ、多くの偏った解釈に捻じ曲げられ、多くの誤解に晒されてきた」(第一章より)。
十七世紀の哲学者スピノザが、いかに生き、何を書き、論じ、どうのように受けとめられてきたのか。本書は、当時の時代状況やオランダの特異性を紹介するとともに、蔵書目録およびテクストにみられる引用からスピノザの語学力や教養の限界までも探る。
改訂新版では、著者による日本語版のためのあとがき「暴露するものとしての日本」を掲載。スピノザが『神学・政治論』のなかで日本について言及したテクストを考察する。スピノザが生きた時代の日本は、スピノザにとってどのような役割を果たしたのか。
〈伝説抜きのスピノザ像を描く〉評伝の決定版。

[著者略歴]
ピエール=フランソワ・モロー Pierre-François Moreau
1948年生まれ。高等師範学校を卒業。1992年までソルボンヌ大学で教鞭を執り、現在、リヨン高等師範学校・文学人文科学部門名誉教授。現代フランスを代表する哲学史家の一人。PUFから刊行中の新スピノザ全集Spinoza-Œuvresの責任編集者で、その第四巻『エチカ』の仏訳を担当。

[訳者略歴]
松田克進(まつだ かつのり)
1991 年京都大学大学院博士後期課程単位取得退学、哲学専攻。龍谷大学文学部教授。主要著訳書に、『スピノザの形而上学』(昭和堂、2009 年)、ドミニク・フォルシェー『年表で読む 哲学・思想小事典』(共訳、白水社、2001 年)がある。

[訳者略歴]
樋口善郎(ひぐち よしろう)
1991 年京都大学大学院博士後期課程単位取得退学、哲学専攻。大阪学院大学非常勤講師。主要論文に、「ヘーゲルと貧困問題」(関西哲学会年報『アルケー』第24 号、2016 年)、主要訳書に、ベルナール・ブルジョワ『ドイツ古典哲学』(共訳、白水社文庫クセジュ807 番、1998 年)がある。

〈目次〉

第一章 スピノザの生涯
  Ⅰ 事実関係
  Ⅱ スピノザの伝記の典拠
  Ⅲ 誕生地アムステルダム
  Ⅳ ユダヤ人とマラーノ
  Ⅴ スペインおよびポルトガルの遺産
  Ⅵ 体制と軋轢
  Ⅶ 教育・絶縁・環境
  Ⅷ コレギアント派とソッツィーニ派
  Ⅸ デカルト主義
  Ⅹ 神学と政治学
  ⅩⅠ 晩年
  ⅩⅡ スピノザの教養
  ⅩⅢ 熱狂と伝説

第二章 著作
  Ⅰ 『知性改善論』
  Ⅱ 『神、人間、および人間の幸福に関する短論文』
  Ⅲ 『デカルトの哲学原理』と『形而上学的思想』
  Ⅳ 『神学・政治論』
  Ⅴ 『エチカ』
  Ⅵ 『国家論』
  Ⅶ 『ヘブライ語文法綱要』
  Ⅷ 『書簡集』
  Ⅸ 真作でないテクスト、散逸したテクスト

第三章 主題と問題
  Ⅰ 人物
  Ⅱ 場所
  Ⅲ 原理
  Ⅳ 解釈上の争点
    (一)無神論
    (二)唯物論
    (三)決定論と自由意志
    (四)神秘主義

第四章 受容
  Ⅰ 『神学・政治論』への批判
  Ⅱ 実体の単一性
  Ⅲ スピノザの影響
  Ⅳ 汎神論とカバラ思想
  Ⅴ 新スピノザ主義
  Ⅵ 汎神論論争
  Ⅶ ドイツ的伝統
  Ⅷ 十九世紀フランス
  Ⅸ 文学者による読解
  Ⅹ 精神分析
  ⅩⅠ 十九世紀と二十世紀のユダヤ教
  ⅩⅡ 二十世紀文学

結び

日本語版のためのあとがき 暴露するものとしての日本

訳者あとがき(旧版)
訳者あとがき(新版)
参考文献③(訳者による)
参考文献②(原書による)
参考文献①(原注による)
人名索引

以上です。

2020年度の卒業式ならびに修了式が挙行されました

学部生の卒業式大学院生の修了式が、それぞれ、2021年3月18日木曜日と20日土曜日に執り行われました。

卒業生のみなさん、修了生のみなさん、まことにおめでとうございます。

『龍谷哲学』第47号が刊行されました

2021年3月10日に『龍谷哲学』第47号が刊行されました。
目次は以下の通りです。

特別寄稿1「『ロミオとジュリエット』を哲学する!――この恋愛悲劇はどのようなカタルシスを達成するというのか?――」・・・山口雅広
特別寄稿2「哲学の学びは社会の役に立つか?」・・・山口雅広

2020年度優秀レポート・スライド7本
2019年度優秀卒業論文3本

以上、お知らせ申し上げます。

『龍谷哲学論集』第35号が刊行されました

2021年1月31日に『龍谷哲学論集』第35号が刊行されました。
目次は以下の通りです。

論文
入谷秀一「ホネット承認論の現在と課題――フェミニズムの観点から――」1-31

研究ノート
藤本忠「「超選択則」の覚え書――基礎――」33-54

以上、お知らせ申し上げます。

【新刊情報】アリスター・エドガー・マクグラス『宗教改革の知的な諸起源』、矢内義顯・辻内宣博・平野和歌子訳、二〇二〇年、教文館。

平野和歌子先生(本学文学部講師・龍谷哲学会委員)が訳者の一人となって翻訳された、マクグラス『宗教改革の知的な諸起源』が、2020年11月に教文館から刊行されました。以下は、出版社からの紹介です。

〈内容説明〉
義認論は初期改革派では論争の中心ではなかった!?
〈聖書のみ〉は中世からの遺産だった!?
宗教改革の知的な諸起源を後期中世のスコラ学と人文主義に求め、さらにその神学的源泉と方法を精査し、地域的に複雑で多様な後期中世と宗教改革期の“連続”と“断絶”を明らかにした画期的な書!
ルターを中心とした宗教改革「神話」を打破し、新たな宗教改革研究の可能性を切り拓く。

〈目次〉
序論
第1部 知的な文脈
 第1章 後期中世における宗教思想の輪郭
 第2章 人文主義と宗教改革
 第3章 後期中世の神学と宗教改革
第2部 源泉と方法
 第1章 聖書――翻訳、テクストそして伝統
 第2章 聖書の解釈
 第3章 教父の証言
結論 初期宗教改革の知的な諸起源の異種混交性

以上です。

筑摩書房創業80周年記念出版、伊藤邦武他責任編集『世界哲学史』全8巻完結

伊藤邦武 龍谷大学文学部客員教授・龍谷哲学会会員が責任編集者のひとりとなり、
2020年1月以来、筑摩書房より毎月刊行されてきた『世界哲学史』が、
8月に完結いたしました。

「古代から現代まで、時代を特徴づける主題から諸伝統を同時代的に見ていき、人類の知の営みを新たな視野から再構築する試み」です。

責任編集者のひとり納富信留 東京大学教授による、第1巻序章がWeb上で公開されています。
また各巻の構成は、Web上で確認していただけます。

龍谷哲学会会員が執筆した箇所は、以下の通りです。
『第4巻(中世Ⅱ)個人の覚醒』
第2章「トマス・アクィナスと托鉢修道会」・・・山口 雅広(文学部准教授)

『第6巻(近代Ⅰ)啓蒙と人間感情論』
はじめに・・・伊藤 邦武
第1章「啓蒙の光と影」・・・伊藤 邦武
第5章「啓蒙と宗教」・・・山口 雅広
あとがき・・・伊藤 邦武

『第7巻(近代Ⅱ)自由と歴史的発展』
はじめに・・・伊藤 邦武
第1章「理性と自由」・・・伊藤 邦武
第3章「西洋批判の哲学」・・・竹内 綱史(経営学部准教授)
あとがき・・・伊藤 邦武

『第8巻(現代)グローバル時代の知』
終章「世界哲学史の展望」・・・伊藤 邦武

本シリーズに関する書評他、紹介記事には以下のようなものがあります。
2020年2月8日『朝日新聞』朝刊「『世界哲学史1』書評 新書で読む東西の哲学の地平」(出口治明 立命館アジア太平洋大学学長)
2020年6月10日『朝日新聞』夕刊「哲学とは、非西洋の視点から問う 古代~現代、新書の「世界哲学史」シリーズ好調」
2020年7月18日『日本経済新聞』朝刊「哲学、中国史…大型シリーズ続々、「教養色」押し出した新書が活況」

ぜひご覧ください。

哲学科哲学専攻の紹介(「龍谷大学文学部パンフレット2021」他)

「龍谷大学文学部パンフレット2021」が出来上がりました。
そのデジタル・パンフレットがございます。
紙媒体のパンフレットの請求もしていただけます。

また哲学科哲学専攻の学生の学びを体験できるムービーを集めてみました。
ミュージカルから学んだ、言葉のチカラ。(2017.05.25)
哲学と能楽から、先人たちの知恵を学ぶ。(2018.05.18)
伊藤ゼミ授業風景(2017.05.25)

哲学専攻の紹介ホームページとあわせて、是非ご覧ください。

※龍谷大学の入試情報については、入試情報に関するホームページをご参照ください。

『龍谷哲学』第46号が刊行されました

2020年3月に『龍谷哲学』第46号が刊行されました。
今号には以下のものが掲載されています。

特別寄稿「私の考える哲学の歴史」・・・伊藤邦武

伊藤邦武先生への送別の辞
伊藤邦武先生との思い出・・・・・・・・・・・・・磯島浩貴
伊藤邦武教授の思想と人柄・・・・・・・・・・・奥野文夫

2019年度1・2回生優秀レポート6本
2018年度ポスターセッション1本
2018年度優秀卒業論文2本
2017年度優秀卒業論文4本のうち、2本(残る2本は第45号に掲載済)

以上、お知らせ申し上げます。

【ご紹介】龍谷叢書

哲学専攻の教員(退職した教員含む)の著作で、龍谷学会から出版助成を得て出版されたものを紹介します。

伊藤邦武『フランス認識論における非決定論の研究』、晃洋書房、二〇一八年。
ブートルー、ポアンカレ、デュルケームを中心に開花したフランス思想は非決定論的認識論を打ち立てると同時に自由の哲学を構想した。

田中龍山『ソクラテスのダイモニオンについて――神霊に憑かれた哲学者――』、晃洋書房、二〇一九年。
彼が語る「神霊の声」とは何だったのか?「ダイモニオン伝説」が形成されていく過程を追う。

関西倫理学会編『倫理学研究』第50号、2020年、150-154頁に、本書の書評が掲載されました。評者は中澤務氏(関西大学・教授)です。

藤本忠『時間の思想史――双対性としてのフィジカ・メタフィジカ――』、晃洋書房、二〇一七年。
その内容の豊富さからいって、まさしく「時間の思想史」という表題に恥じない、時間をめぐる非常に多面的なテーマについてのきわめて詳細な論考である。

本田裕志『ベルクソン哲学における空間・延長・物質』、晃洋書房、二〇〇九年。
ベルクソン哲学を、「空間・延長」「物質」「知性」に関する見解を通じて解明し、その核心にせまる。

丸山徳次『現象学と科学批判』、晃洋書房、二〇一六年。
現象学からみた科学批判を14の論文から構成した書。

『週刊読書人』2017年1月27日号に、本書の書評「時代への批判意識を反映――極めて高い目的意識を持つ貴重な書物――」が掲載されました。評者は小川侃氏(京都大学・名誉教授、豊田工業大学・文系アドバイザー)です。

山口雅広、藤本温編著『西洋中世の正義論――哲学史的意味と現代的意義――』、晃洋書房、二〇二〇年。
正義論の多様性とは結局、「人間は社会的動物である」ということの理解の多様性である。
本書には、社会の正しいあり方というだけにとどまらない人間論としての、また、イエス・キリストの愛と切りむすぶ西洋中世の多彩な正義論がある。古代ギリシアを継承し近代へとつながる中世の豊かな思索は、現代の正義論を根本から再吟味する機会を与えてくれる。
(京都大学副学長・中世哲学会会長 川添信介)

正義とは、もっとも広い意味では、個々の人間や共同体が本来もつべき「正しさ」である。正義論 とは、この個人と社会の正しさにかんして、その内実となる意味を明確にするために、人間の本性や 社会の構成原理をめぐる哲学的分析を行い、人間が従うべき法や道徳の原理を明らかにすると同時に、 このような原理が採用されるべき根拠を合理的に説明するものである。
(「はじめに」より)

本書は西洋中世とその前後の時代におけるさまざまな正義論を再考することで、西洋中世における正義論の多様な哲学的展開、複雑に入り組んだ影響関係を浮き彫りにし、その中に現代的意義を見出す試みである。

『週刊読書人』2020年8月14日号に、本書の書評「共通善とパンデミックという共通悪」が掲載されました。評者は古牧徳生氏(名寄市立大学・教授)です。