お知らせ

【新刊情報】アリスター・エドガー・マクグラス『宗教改革の知的な諸起源』、矢内義顯・辻内宣博・平野和歌子訳、二〇二〇年、教文館。

平野和歌子先生(本学文学部講師・龍谷哲学会委員)が訳者の一人となって翻訳された、マクグラス『宗教改革の知的な諸起源』が、2020年11月に教文館から刊行されました。以下は、出版社からの紹介です。

〈内容説明〉
義認論は初期改革派では論争の中心ではなかった!?
〈聖書のみ〉は中世からの遺産だった!?
宗教改革の知的な諸起源を後期中世のスコラ学と人文主義に求め、さらにその神学的源泉と方法を精査し、地域的に複雑で多様な後期中世と宗教改革期の“連続”と“断絶”を明らかにした画期的な書!
ルターを中心とした宗教改革「神話」を打破し、新たな宗教改革研究の可能性を切り拓く。

〈目次〉
序論
第1部 知的な文脈
 第1章 後期中世における宗教思想の輪郭
 第2章 人文主義と宗教改革
 第3章 後期中世の神学と宗教改革
第2部 源泉と方法
 第1章 聖書――翻訳、テクストそして伝統
 第2章 聖書の解釈
 第3章 教父の証言
結論 初期宗教改革の知的な諸起源の異種混交性

以上です。

筑摩書房創業80周年記念出版、伊藤邦武他責任編集『世界哲学史』全8巻完結

伊藤邦武 龍谷大学文学部客員教授・龍谷哲学会会員が責任編集者のひとりとなり、
2020年1月以来、筑摩書房より毎月刊行されてきた『世界哲学史』が、
8月に完結いたしました。

「古代から現代まで、時代を特徴づける主題から諸伝統を同時代的に見ていき、人類の知の営みを新たな視野から再構築する試み」です。

責任編集者のひとり納富信留 東京大学教授による、第1巻序章がWeb上で公開されています。
また各巻の構成は、Web上で確認していただけます。

龍谷哲学会会員が執筆した箇所は、以下の通りです。
『第4巻(中世Ⅱ)個人の覚醒』
第2章「トマス・アクィナスと托鉢修道会」・・・山口 雅広(文学部准教授)

『第6巻(近代Ⅰ)啓蒙と人間感情論』
はじめに・・・伊藤 邦武
第1章「啓蒙の光と影」・・・伊藤 邦武
第5章「啓蒙と宗教」・・・山口 雅広
あとがき・・・伊藤 邦武

『第7巻(近代Ⅱ)自由と歴史的発展』
はじめに・・・伊藤 邦武
第1章「理性と自由」・・・伊藤 邦武
第3章「西洋批判の哲学」・・・竹内 綱史(経営学部准教授)
あとがき・・・伊藤 邦武

『第8巻(現代)グローバル時代の知』
終章「世界哲学史の展望」・・・伊藤 邦武

本シリーズに関する書評他、紹介記事には以下のようなものがあります。
2020年2月8日『朝日新聞』朝刊「『世界哲学史1』書評 新書で読む東西の哲学の地平」(出口治明 立命館アジア太平洋大学学長)
2020年6月10日『朝日新聞』夕刊「哲学とは、非西洋の視点から問う 古代~現代、新書の「世界哲学史」シリーズ好調」
2020年7月18日『日本経済新聞』朝刊「哲学、中国史…大型シリーズ続々、「教養色」押し出した新書が活況」

ぜひご覧ください。

哲学科哲学専攻の紹介(「龍谷大学文学部パンフレット2021」他)

「龍谷大学文学部パンフレット2021」が出来上がりました。
そのデジタル・パンフレットがございます。
紙媒体のパンフレットの請求もしていただけます。

また哲学科哲学専攻の学生の学びを体験できるムービーを集めてみました。
ミュージカルから学んだ、言葉のチカラ。(2017.05.25)
哲学と能楽から、先人たちの知恵を学ぶ。(2018.05.18)
伊藤ゼミ授業風景(2017.05.25)

哲学専攻の紹介ホームページとあわせて、是非ご覧ください。

※龍谷大学の入試情報については、入試情報に関するホームページをご参照ください。

『龍谷哲学』第46号が刊行されました

2020年3月に『龍谷哲学』第46号が刊行されました。
今号には以下のものが掲載されています。

特別寄稿「私の考える哲学の歴史」・・・伊藤邦武

伊藤邦武先生への送別の辞
伊藤邦武先生との思い出・・・・・・・・・・・・・磯島浩貴
伊藤邦武教授の思想と人柄・・・・・・・・・・・奥野文夫

2019年度1・2回生優秀レポート6本
2018年度ポスターセッション1本
2018年度優秀卒業論文2本
2017年度優秀卒業論文4本のうち、2本(残る2本は第45号に掲載済)

以上、お知らせ申し上げます。

【ご紹介】龍谷叢書

哲学専攻の教員(退職した教員含む)の著作で、龍谷学会から出版助成を得て出版されたものを紹介します。

伊藤邦武『フランス認識論における非決定論の研究』、晃洋書房、二〇一八年。
ブートルー、ポアンカレ、デュルケームを中心に開花したフランス思想は非決定論的認識論を打ち立てると同時に自由の哲学を構想した。

田中龍山『ソクラテスのダイモニオンについて――神霊に憑かれた哲学者――』、晃洋書房、二〇一九年。
彼が語る「神霊の声」とは何だったのか?「ダイモニオン伝説」が形成されていく過程を追う。

関西倫理学会編『倫理学研究』第50号、2020年、150-154頁に、本書の書評が掲載されました。評者は中澤務氏(関西大学・教授)です。

藤本忠『時間の思想史――双対性としてのフィジカ・メタフィジカ――』、晃洋書房、二〇一七年。
その内容の豊富さからいって、まさしく「時間の思想史」という表題に恥じない、時間をめぐる非常に多面的なテーマについてのきわめて詳細な論考である。

本田裕志『ベルクソン哲学における空間・延長・物質』、晃洋書房、二〇〇九年。
ベルクソン哲学を、「空間・延長」「物質」「知性」に関する見解を通じて解明し、その核心にせまる。

丸山徳次『現象学と科学批判』、晃洋書房、二〇一六年。
現象学からみた科学批判を14の論文から構成した書。

『週刊読書人』2017年1月27日号に、本書の書評「時代への批判意識を反映――極めて高い目的意識を持つ貴重な書物――」が掲載されました。評者は小川侃氏(京都大学・名誉教授、豊田工業大学・文系アドバイザー)です。

山口雅広、藤本温編著『西洋中世の正義論――哲学史的意味と現代的意義――』、晃洋書房、二〇二〇年。
正義論の多様性とは結局、「人間は社会的動物である」ということの理解の多様性である。
本書には、社会の正しいあり方というだけにとどまらない人間論としての、また、イエス・キリストの愛と切りむすぶ西洋中世の多彩な正義論がある。古代ギリシアを継承し近代へとつながる中世の豊かな思索は、現代の正義論を根本から再吟味する機会を与えてくれる。
(京都大学副学長・中世哲学会会長 川添信介)

正義とは、もっとも広い意味では、個々の人間や共同体が本来もつべき「正しさ」である。正義論 とは、この個人と社会の正しさにかんして、その内実となる意味を明確にするために、人間の本性や 社会の構成原理をめぐる哲学的分析を行い、人間が従うべき法や道徳の原理を明らかにすると同時に、 このような原理が採用されるべき根拠を合理的に説明するものである。
(「はじめに」より)

本書は西洋中世とその前後の時代におけるさまざまな正義論を再考することで、西洋中世における正義論の多様な哲学的展開、複雑に入り組んだ影響関係を浮き彫りにし、その中に現代的意義を見出す試みである。

『週刊読書人』2020年8月14日号に、本書の書評「共通善とパンデミックという共通悪」が掲載されました。評者は古牧徳生氏(名寄市立大学・教授)です。

【新刊情報】バーナード・レジンスター『生の肯定 ニーチェによるニヒリズムの克服』(〈叢書〉ウニベルシタス)、岡村俊史、竹内綱史、新名隆志訳、法政大学出版局、二〇二〇年。

竹内綱史先生(本学経営学部准教授・龍谷哲学会委員)が訳者の一人となって翻訳された、レジンスター『生の肯定 ニーチェによるニヒリズムの克服』が、2020年3月に法政大学出版局から刊行されました。

本書の内容紹介・目次などについては、出版社のサイトをご覧ください。

以上です。

『龍谷哲学論集』第34号が刊行されました

【新刊情報】フィリップ・デスコラ『自然と文化を超えて』(〈叢書〉人類学の転回)、小林徹訳、水声社、二〇二〇年。

小林徹先生(本学文学部講師・龍谷哲学会委員)が翻訳された、フィリップ・デスコラ『自然と文化を超えて』が、2020年1月に水声社から刊行されました。

以下は順に同著の内容紹介、目次、デスコラの略歴になります。
ぜひ手に取ってみてください。

内容紹介
アチュアル族のインディオとの出逢いをきっかけに、地球規模で広がる四つの存在論を横断し、非人間をも包摂する関係性の分類学を打ち立てる――。
近代西洋が発明した「自然/文化」という二分法を解体し、人類学に“転回”をもたらした記念碑的著作。(本書帯より)

 私たちは野蛮ではない状態を文化と呼び、文明化されていない状態を自然と呼ぶ。しかし、自然と文化が対立する二つの項であるということはそれほど自明だろうか。フィリップ・デスコラによれば、この分断を遂行したのは近代西洋だけである。ここには、西洋と非西洋を隔て、人間と非人間を本質的に切り離して考える近代西洋特有の思想(ナチュラリズム)が認められるのだ。ところが、世界や環境について思考する仕方は他にも存在する。肉体的差異を認めつつ、人間と非人間を本質的に同質の霊魂を持つ存在と捉えるアニミズム。人間と非人間を内面的にも肉体的にも似たような存在と考えるトーテミズム。連続する無数の差異の中に人間と非人間の差異を織り込み、両者の照応関係を打ち立てるアナロジズム。世界の正しい捉え方を決定する唯一のモデルなど存在しない。私たちは、世界の中で世界の見方を作り上げ、変換し続けているのである。綿密な現地調査と膨大な文献に基づいて論証を進め、人類学における〈存在論的転回〉を象徴する一冊となった本書が行きつくのは、世界に対する真に開かれた思考である。

目次
第1部 「自然」の騙し絵(連続体の諸形象/野生と家庭/大分割)
第2部 経験の構造(実践の図式/自己との関係/他者との関係)
第3部 存在の配置(アニミズム再考/存在論としてのトーテミズム/ナチュラリズムにとって確かなこと/アナロジーの眩暈/項・関係・カテゴリー)
第4部 世界の用法(集合の創設/習俗の形而上学)
第5部 関係の生態学(繋がりの諸形態/霊魂の交渉/構造の歴史)/可能事の目録

著者紹介
デスコラ,フィリップ[Philippe Descola]
1949年、パリに生まれる。文化人類学者。
サン=クルーの高等師範学校を卒業後、クロード・レヴィ=ストロースに師事し、社会科学高等研究院で教鞭をとる。
現在、コレージュ・ド・フランス教授

以上です。(訳者からいただいた「内容紹介」を追記しました(2020年2月7日))。